【読書エッセイ】『カエルの楽園』のあらすじと感想

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ここ1年くらい、私、虎ノ門ニュースという、

ネットニュース番組をよく観ているんですが、

これは、その火曜日のコメンテーターでもある、

百田尚樹さんの作品です。

毎週、火曜虎ノ門ニュースを笑いながら観ているんですが、

(いや、百田さんがいちいち面白いんですよ。)

そんな百田さんの作品を、私は読んだことありませんでした。

では、今回は『カエルの楽園』について。

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だいたいどんな話かというと、

主人公は、

ソクラテスという名のアマガエルで、

自国がダルマガエルの群れに襲われたために、

ソクラテスは仲間を連れ、安住の地を求めて旅に出るんです。

で、

たどり着いたところが、ナパージュという国。

 

ナパージュには善良なツチガエルたちが住んでいて、

ソクラテスは、最初、

「こここそ天国だ」

なんて思うんですけど、

だんだんとツチガエルたちのおかしなところに気づいていく…という話です。


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この物語の特徴は、

ナパージュという国に、現代日本をそのまんま、

投影していているという点です。

 

まぁ、当然、この本を手に取る人は、

作者が、普段、政治に関する発言の多い百田氏であることを知っていると思いますし、

それを前知識に読むと思います。

だから、この点に感心してもしょうがない。

 

この物語を読んでいて楽しいのは、

百田氏の皮肉を楽しむと同時に、

何と言っても、ストーリーの結末が気になって気になってしょうがなくなってくるんですよ。

 

だって、現代日本が投影されているぶん、

途中まで、物語は「イメージ(予想)通り」に進んでいくんです。

ヌマガエルたちの楽園であるナパージュは、

やがて、

凶暴なウシガエルたちに侵略されていきます。

 

書き方として面白いのは、

このウシガエル側に

人物名とか、セリフとかが、一切ないんです。

 

ただ、困惑し、混乱するヌマガエルたちの様子だけが、

第三者的視点を持つ・ソクラテス

を中心に、克明に語られていきます。

 

どの登場人物が、現実における”何”に当たるかは、

巻末の櫻井よしこさんの解説で、説明されているので、

私がここで改めて説明することもないでしょう。

実は、私、ビジネス書とか実用書とかはよく読むんですけど、

「小説」を読むのは、久しぶりだったんです。

でも、いや〜、夢中になりましたね。

先が気になって気になって…。

 

この物語の結末がどうなるかは、

(もう知られているかも知れませんが、耳に入っていない人もいらっしゃると思いますので、)

ここには書きません。

 

誰がまともなカエルで、

誰がおかしなことを言っているように感じるか、

それに対し、自分の感情を熱くしながら読むのがいいですね。

物語は一応、最後、結末を迎えるわけですが、

そこで紡がれた”世界”が終わるわけではありません。

アマガエルや、ヌマガエルや、ウシガエルが、さも人間のような知性を持ってひしめいている、

このファンタジーの世界は、この物語が終わっても、まだ続いていきます。

それは、この現実世界が延々と続いていくことと重なります。

 

自分が死んでも、自分の大切な人が死んでも、

たとえ第三次世界大戦が起きても、日本という国がなくなってしまっても、

その次の日、地球は、何事もなかったかのように回るでしょう。

 

そもそも、物語というものの本質は、

人間が自分の生きる人生の「参考材料」にするということです。

 

私の考えですが、はっきり言って、

ファンタジーのほうが、ノンフィクションよりも胸をえぐります。

この『カエルの楽園』の素晴らしさは、

まるで昔話のような普遍性を持ったファンタジーを、

現代における「新作」として書き下ろしていることです。

しかも、完成度がすごい。

 

ある程度、日本国の憲法9条にまつわる啓蒙が目的だったとしても、

物語として面白い。そこに、さらに感心します。

今の日本の状況をそのまま「物語」として楽しめる人なんていません。

(私たちが生きているのは”終わらない世の中”なのですから。)

でも、

普遍的なファンタジーとしてストーリー化されると、

ここまで面白く思えるとは…。

 

読んでいて、なんか不思議な発見をさせられた気がして、

そこも、この作品の”価値”ですね…。

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物語って、

結局、「置き換えの技術」なんですよね。

どんなストーリーでも、

起承転結に当てはまりますし、

物語の”大筋”なんて、パターンにすると、だいたい10もないんじゃないですかね。

 

私も童話をたくさん書いてきていますけど、

狙いは、

やっぱり自己の体験を

普遍的なファンタジーとして、筋のある物語に作り上げて、

人の心の奥底に、”熱いもの”を届けたい…

ということです。

 

百田氏は、童話作家でもなく、

れっきとした小説家で、大ヒットもバンバン飛ばしている人で、

しかも、

冗談も面白くて、イケてるおじさんですが、

こんな手法で、物語を書いたら、こんなに素晴らしいものを書けるなんて…

 

なんだか私は、

ちょっと、どこか、悔やしかったです。

 

創作の本質は「置き換えの技術」と(仮に)(あくまでも仮にですよ?)断定すれば、

この『カエルの楽園』は、

まさに

最高の創作物といえると思います。

 

読んでよかった。面白かった。

 

というわけで、今回はここまで。

ではまた。


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