【シリーズ最終回】名作昔話『なげきの王と5つ目の季節』から学ぶ、昔話的“創作”のワザ
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「名作昔話を掘り下げる」のコーナー、最終回を飾る

今回のお話『なげきの王と5つめの季節』は、

何と! 私のオリジナル作品です。

 

「何だよ、昔話じゃないじゃないか!」というツッコミ、

ごもっともでございます……。

 

これはかつて私が、

西洋(特にイギリス)の昔話の世界観を借りて、

書いたものです。

 

これを使って、最後に、

実際の創作に関して触れていこうというわけです。

 

魂込めてお伝えいたします。

それでは最終回、スタート!

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今回ご紹介する話は…

紙では出版されていませんの、当サイトでのみ、読むことができます。

↓ここからどうぞ。
『なげきの王と5つ目の季節』

(※本稿をお読みいただく前に読んでも、後で読んでもどちらでも構いません。)

このストーリーのモチーフ(発想の原点)

最後に、改めて、“モチーフ”について、説明いたしましょう。

モチーフとは、もともと音楽用語で「最小旋律」を意味します。

 

物語創作に置き換えると、

「こんな物語を作りたいなぁ」という“イメージ像”、

あるいは“きっかけ”のようなものです。

 

本作品のモチーフはこれです。↓

 
西洋の昔話風の童話作品を作ってみよう!
 

……モチーフとしては、これだけになります。

 

ですが、

今までさんざんモチーフについての説明もしてきただけに、

「それだけで実際書けるわけないだろ」と、ツッコミが入りそうですね。

ですので、もう少し補足しましょう。

 

昔話風作品を作るときには、

「3の要素」をどう盛り込むか、を念頭に置いておくといいです。

(これまでこれについてもさんざん触れてきましたので、

これを入れなきゃウソですね。)


物語の基本とは、状態の変化です。

 

何かを求めている人、もしくは何かが欠損した人がいて、

その人が冒険など、何かを経て……

“最初の状態”とは“違う状態”になる、これがストーリーです。

 

私は「西洋の昔話風の童話作品を作ろう」と思った時、

(この作品を書いた時、)

「どうやって3の要素を盛り込もうか……」

と考え、

 

さらに、

「思いきって、4も5も入れちゃおうか……」

と考えました。

 

(あ、ちょっとこの表現、混乱を招きますかね?)

 

「3の要素」が用いられるのは、物語のテンポを形成するときです。

 

この物語において、私が、

3の要素も、そして5の要素も入れちゃえ」と考えたのは、

 

「設定の中に使っちゃえ」ということです。

(こうした方向性が、本作品のモチーフとなっています。)

 

ですから、通常は3の要素だけでいいですよ。

 

……創作手順は、これから詳しくご説明します。

物語の『天・地・人』

続いて、基本設定を見ていきます。

 
天(時代・世界設定)
イギリス(西洋)の昔
(当然「昔話」なので、ファンタジー要素が強い世界観です。)
地(物語のスタート地点)
ある国の城
人(主人公および登場人物)
・王様(なげきの王)
・兵隊
・おばあさん
・季節の精
・お姫様
 

本来、物語創作においては、

「天」(時代・世界観設定)の部分に

一番神経を使わなくてはいけないのですが、

今回は、昔話の世界観を丸ごと使わせてもらいますので、

その点は非常に便利です。

 

これは、つまり、

「どんなことが起こりうる世界か」ということを、

読者に簡単に分かってもらうことができるということですね。

 

冒頭に「むかしむかし……」とあれば、

「ああ、ああいう感じね」と誰でも分かってくれますから。

 

(※だから、創作昔話って、ジャンル的に本当は反則なんです。伝承されてないくせに、伝承されてるようにやるわけですし。)


ちなみに、

この本作品の世界観は、単に西洋の昔話というのでなく、

もっと細かく言うと、次の2作品、

 
スロバキアの昔話『十二の月のおくりもの』
グリムの昔話『熊の皮を着た男』

から、設定などを若干お借りしています。

あらすじ(物語のおおまかな設計図)


世継ぎの男の子が欲しがっていた王様のところに、

娘が生まれ、王様は「娘はもういらん!」と叫んでしまいました。

すると、魔女が現れ、その赤ちゃん(娘)をさらっていってしまいます。


数年後、城の近くをひとりの兵隊が訪れました。


兵隊は、たまたま訪れたおばあさんから、

「さらわれた王様の娘を救うヒント」を得て、

見事、娘を救い出すことに成功します。

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起承転結は?


世継ぎを欲しがっていた王様のところに、

2人目の娘が生まれ、王様は叫ぶ。

「このように不要な娘は、春でも夏でも秋でも冬でもない、

五つ目の季節のようなものだ!」

それを聞いた魔女に娘がさらわれてしまったことをなげいた王様は、

おふれをだす。

「五つ目の季節を見つけ出したものに、王の座をゆずろう」と。

あるとき、城の近くに、1人の兵隊(退役軍人)がやってくる。


食べ物を恵んでくれたおばあさんは、

「あなたなら、この国の王になれる。


そのためには、ここで“パン作り”を3日間修行しなさい」

と兵隊に告げる。

 

↑の「起」で出てくる、「3日間」は、あくまでもキーワード。

「承」3つのリズムは、別にあります。

 
承❶

兵隊はこの3日間で、パン作りと、

おばあさんが歌っていた歌を覚える。

承❷

兵隊がおばあさんの元を出発すると、

そこには、季節の精の家(4人)があった。

兵隊:「ここに5人目の季節はいませんか?」

季節の精:「ああ、あの役立たずの鳥のことか…。そこにおるわい。

でも、タダではやらんぞ

承❸
兵隊は、4人にパンをごちそうし、鳥をもらい受ける。
↓続いて、物語で最も印象的部分、「転」と、その後の「結」です。

兵隊は、鳥を持って王様の元へ。

兵隊が残していたもう一つのパンを、

王様の目の前で鳥に食べさせると、

鳥は、王女様に変身。

兵隊は、のちにこの国の王となった。
 

この作品の場合は、なげきの王の最初のエピソードが、

本当はエピローグにあたるもので、

これを「起」に入れると、非常に長い「起」になりますね……。

まぁ、これもいいでしょう。

 

私がこれまで再三、どんな話も、

 
「起」「承①」「承②」「承③」「転」「結」
 

に、まとめられると述べてきたのは、

「そうでなくてはいけない」のではなくて、

「自然とそのようになっていく」のです。

 

先ほども申したように、

「物語とは“状態”が変化するさまを語ったもの」


この流れをもっと抽象化すると、つまりはこういうことです。

 

「はじまりの状態」があって、(「起」

そこに「変化する要因」があって、(「承」

実際に「変化」して、(「転」

物語が「終結」する。(「結」


 

このように、必ず、物語は「起承転結」にまとめられます。

そのうえで物語のテンポ感を出すのに、

「承」のリズムはとても重要になってきます。

 

これは昔話だけでなく、現代の創作においても同じです。

 

「3の要素」を直接使わないにしても、

「3のテンポ」を意識させることで、

読者に先の展開を予想させ、集中させることができるからです。

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このストーリーのポイントは?

この物語に出てくる「3の要素」は、一見、

おばあさんの元でパン作りを習った「3日間」だと思ってしまいますが、

実は違います。

 

兵隊の「アクション」に注目してください。

 

兵隊のアクションは、大きく3つあり、

それがそのまま、「承①」「承②」「承③」となっています。

 

●パン作りを習う

●出かけて、4人の季節の精に会う

●パンをごちそうし、鳥をもらう


 

と、このように、たとえ、どんなに長い話であっても、

主人公の「アクション」に注目すると、

ほぼすべての物語において、

「承」は、3つに大別されるものなのです。

物語創作の3原則とは?

では、いよいよ、

「名作昔話を掘り下げよう」という、

このシリーズの全体のまとめに入っていきます。

 

このコーナーのコンセプトは、

 

「昔話を分析しながら、そこから導き出されるメッセージに感化されつつ、

物語創作そのものを勉強していこう」

 

というものでした。

 

(第一回から)ここまで読んでくださった方は、

おおよそ、物語作りのコツを何となく掴めてきたのではないでしょうか?


最後に、

ここまでお伝えしてきたことを、

「物語作りの3原則」として、まとめてみます。

 

(シンプルにいきますよ。)

 
原則①
物語創作には、その発端となる思いつき(モチーフ)が必要
原則②
主人公が「ある状態」から「違う状態」へ変化することを軸に考えよう
原則③
「3」を意識しながら、全体の「リズム」を意識しよう
 


……というわけで、「名作昔話を掘り下げる」のコーナーは、

一応、ここで完結させていただきます。

 

ここまで全14回、お付き合いいただき、本当にありがとうございました!


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