⑦ 話し手と聞き手が同じ目的地を目指す意義

こうした点において、ストーリーカウンセリングはきわめて、そのメリットを効果的に引き出しているといえます。

なぜなら、ストーリーカウンセリングは相談者と私の間に、はっきりとした“共通の目的”があるからです。

それは、インタビュー内容を「コラム原稿」にまとめるということ。

原稿に書かれることを前提とすると、相談者の方には、よりしっかり伝えよう、という気持ちが生まれます。

私のほうでも、途中で「これは、原稿にこう書いてもいいですか?」といったことをお聞きします。

その時、返事をするのは、あなたです。

“あなた自身”が決めるのです。

それは、運命を“自分自身で決め、これから先進んでいく道を“自分自身で”決めるということにつながってきます。

⑧故事をからめることで客観性を追求

ストーリーカウンセリングの原稿は、基本、2段構成になっています。

上段には、まず、私がチョイスした中国故事のお話がきます。

このような形式にしているのは、中国故事の持つ「普遍性」「格調高さ」「説得力」を拝借していることもありますが、何よりこれによって、原稿の書き手にとっても客観的な文章となり、相談者様にとっては、この上なく客観的な文章となるのです。

それこそ、自分の人生について書いてある文章なのに、まるで他人の人生について書かれているかのように、純粋に“読み物”として楽しめるでしょう。

なお、このスタイルは、私がライターとして大手新聞に企業紹介コラムを書いていた時の経験を元にしていますが、原稿そのものの客観性を追求するにはもっとも優れたスタイルだと信じています。

⑨ストーリーカウンセリングと名づけた理由

冒頭でも触れましたが、人にとって「自分を知る」ということは、永遠のテーマと言っていいでしょう。

自分とは何者かを語る時、たいていの人は、

「どこどこに通っている〜〜です」
「どこどこに勤めている〜〜です」

もしくは、

「誰々の妻の〜〜です」

と答えるように、何かの“固有名詞”に寄り添うことで、自分の存在を主張します。

しかしそれで、自分という人間の“本質”が語れるでしょうか?

もしかしたら、あなたは今、あなたを“演じている”だけかも知れません

もしかしたら、あなたが持っている夢は、誰かに見せられた夢であって、本当は“自分の夢”ではないかも知れません。

……そういうことは十分にあり得ます。

思い当たりませんか?

あなたという人間は、今も少しずつ形成されていっています。

人間とは、永遠に未完成なものなのです。

でも、もしそうなら、これまでの歩み、決断の一つひとつ、積み上げたエピソードの一つひとつが「あなたという人間」を形作っている……というふうには思えませんか?

そう、まさに、人はみなそれぞれの「ストーリー」を背負って生きているのです。

よって私は、この「架空取材によって自分自身を知るサービス」を『ストーリーカウンセリング』と名付けました。